最初に。
「はじめに ― 初見、こういう人間です」にも書きましたが、以前の私は、いえ、今も多少その気があります、レアパーツ大好き人間です。
そんな私は240ZGが納車された当初からひとつのエンジンユニットを探していました。
「LY280型クロスフローヘッド(以下、LY28ともいう)。」
言わずと知れたレース専用の幻のユニットです。
このユニットを最初に知ったのはCARBOYの1990年4月号の小さな記事でした。
そこにはLY28を活用してツインターボ化できないか等の内容が掲載されていました。
そのときは何の気なしに読んでただけでしたが、まだ240ZGを手に入れていない私にとって、これがLY28を知るきっかけとなりました。
そして240ZGを所有して2〜3年後の年。
「J’s Tipo 1996年12月号増刊 フェアレディZ完全攻略MANUAL」で「通称LYヘッドの真相」と題し、LY28の各部品の拡大写真等を多く掲載されており、夢を大きく膨らませました。
ちょうどその頃、240ZGの初期トラブルも一段落したこともあり、今度はエンジンに手をつけたくて仕方ありませんでした。しかも、みんながやっているようなL型改ではなく、あの雑誌に載っていた、私の心から離れないLY28ヘッドを搭載したい。あのレーシングユニットのクロスフローヘッドを搭載したL型3.1ℓを作りたくて仕方ありませんでした。
ショップの店員さんや周りの人は「今のL型改の方が全然速いよ」というのも聞かず、ひたすら探しましたね。
今のようにネット環境がない時代です。人づて、噂、人脈、何でも使いました。貯金を200万円貯めてね。
ある時は静岡の某ショップが所有している情報を入手。早速連絡をしましたが、即答で断られてしまいました。あとでその道ではかなりの大御所だよと聞き、失礼だったかなと反省したり。
次は、当時一緒に働いていた同僚の息子さんがニスモのレース課に勤務されていると判明。口添えをしてもらいアポをとることができました。
その時はなんと「LY28ヘッド」の在庫もしくは再生産は可能か?などと聞いてしまっていました。これも世間知らずでしたね。
在庫はないけどと、紹介されたのは神奈川の某ショップ。しかし、ここも首を縦には振ってくれませんでした。
あとでわかったのですが、そのLY28ヘッドは星野一義選手がドライブしたフェアレディZということが、その後に発行されたノスタルジックヒーローに掲載された記事でわかりました。
それは売ってもらえる訳ないですよね。
その後もいろいろ手を尽くしてみたのですが、私のLY28ヘッド探しの旅はここで終わってしまいます。
ないものは製作する。
ここまでくると今度はLY28ヘッド、というよりL型クロスフローヘッドを作れないかと考えてしまうわけです、私は。
「J’s Tipo 2001年3月号増刊 Z mania!」では「LY CROSS FLOW Zの為のスペシャルレーシングヘッド」と題し、LY28ヘッドの部品全体の写真も多く掲載されています。
これを参考に作れないか。
作れませんね。正確な寸法や内部の水路等がわかりませんから。
おまけに試作には莫大な金額、一説には量産エンジンの80倍かかるともいわれます。
では、RB20EやRB30EのOHCヘッドを加工して作れないか。タイミングチェーン駆動、タイミングベルト駆動などの違いがあるがボアピッチはL型と一緒。何とかできないか。
まぁ、何とかできないとは思いますが。一度ヘッドは見比べてみたいと思いますね。
ラッシュアジャスターもなくしたいし、カムも作り直しです。ベルトからチェーンにするのも困難かな。タペットカバーも作り直しです。
ここまでするなら某ショップのようにRB25DE等を搭載した方がよさそうです。
今さら旧式のOHCエンジンを作るのに、何百万もかけて作ってどうするんですか。
最後にー。
速いエンジンを作るのでしたらRB25DEはよい選択だと思います。
あくまでクロスフローのL型で速さを求められるなら、加工工賃、維持費は覚悟が必要です。
LY28ヘッドは…、夢のユニットですね。このユニットで新たな速さを求めるには更なる金額が必要になりますから。
何度も書きますが目的をしっかり持ってクルマに接しないと、金額は青天井です。
自戒も込めて、注意しないと。
追伸
といっても、私も往生際の悪い人間です。RB20EやRB30Eのヘッドは探しています(笑)。
2009.05.07 初出
2020.04.15 改訂
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