レギュレーション ― 己を律するもの

 レギュレーションを辞書で調べると「規制、規則」という意味。

 モータースポーツの世界などではエンジン、シャシー(車体)などにある一定の規則を設けて、参加メーカーの開発費の抑制を狙ったり、ドライバー同士の技術で争えるようにと設けられています。

 例えば話をエンジンに絞って進めてみましょう。

 曰く、15年前のJTCCのレギュレーション。

 エンジンは2000cc以下の自然吸気で最高回転数を8500rpm以下。そうなると各社自ずと馬力は290psあたりに落ち着くとか。

 曰く、今年(2009年)のF-1のレギュレーション。

 エンジン形式はV8、排気量を2400ccに制限、バンク角は90度、最低重量95kg、最低重心高165mm。 エンジンの回転数は最大18000rpmに制限されていて、そうなると各チーム自ずと馬力は700psあたりになりますか。

 翻って私たちがチューニングしていくエンジン。まぁ、ソレタコデュアルの私はほとんどしていないも同然なのですが、最近の雑誌などを見る限り、L型エンジンも、4G63も、RB26DETTもすごいことになってますな。

 特にL28エンジン。基本設計が40年も昔のエンジンなのに、それを現代の技術、基準に則った寸法出し。セラミック溶射等の特殊加工の数々。

 ここまで行き着いた先人たちの熱意と時間、経験、そして一生懸命に働き稼いで注ぎ込んだであろう資金は相当なものと思われます。

 そう、私たちのエンジンには道路交通法以外に外的なものから課せられた「レギュレーション」はないのです。

 では、あえて内的な「レギュレーション」があるというなら。
 それは自分自身が用意できる資金、時間、経験、技量の枠内でやらないといけないということ。

 ブローを繰り返し、その度に泣き、また新たに組み直して果てしない経験とお金を積んで、更なる高みを目指す。

 それもひとつのレギュレーション。

 エンジンは雑誌で聞きかじったところまで。中古のエンジンの蓋を開けて、250psも出てればそれで十分。

 それもひとつのレギュレーション。

 自分が決める「やり方」という名のレギュレーション。

 どうしたいかは、自分が何を目的として愛車と接するのかを考えること。
 公道をちょっと元気よく走りたいのか、ミーティングでレアパーツを自慢したいのか、ゼロヨン競技やサーキット走行でよい成績を残したいのか、等々―。

 人とクルマの数以上に、目的も、それを叶えるための手段も、数え切れないほどたくさんあるのです。

 人間、「無駄に思うこと」が、1番意欲を削がれます。
 クルマが好きなら、クルマのチューニング、改造を長く続けていきたいのなら。

 これを常に考え、思い描ける力を持つことを―。

 つまるところ、人それぞれの、考え方、生き方、そして人生のあり方に通じるものかもしれません。

 人生、「無駄に思うこと」はあっても、本当に「無駄なこと」はありませんから。

 ここから先は、自分自身が「己に課したレギュレーション」。
 その、己を律するものを、いつも心に留めておくことが大切なのです。

2009.04.23 初出
2020.04.15 改訂

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 旧車ブロガー、スーパーセヴンとミニが大好きな高校3年生のwaka(Jr.)です。
 「S30Z&240ZGとの旧車ライフ!」では、父が日産フェアレディZ、240ZGや仲間たちのS30Z、その他のクルマたちに囲まれていた1990年代頃から書き綴ってきたコラムを中心に、僕が改訂して投稿しています。
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